ご挨拶
第8回日本不安症学会学術大会を2016年2月6日(土)〜7日(日)に、千葉大学医学部亥鼻キャンパス内施設で行わせていただきます。大会長は、私、清水 栄司(千葉大学大学院医学研究院 認知行動生理学、子どものこころの発達教育研究センター)と、伊豫 雅臣教授(千葉大学大学院医学研究院 精神医学)です。事務局長は、松澤 大輔講師(千葉大学大学院医学研究院 認知行動生理学、子どものこころの発達教育研究センター)です。
千葉大学医学部は、JR千葉駅(東京から快速で42分)から、車で15分ほどの「亥鼻」と呼ばれる、小さな「千葉城(千葉市立郷土博物館)」がそびえる丘(台地)の上にあります。この「亥鼻山」は、建物を建てる時に古墳が発掘されたり、キャンパス内に牛頭天王を祀る七天王塚(上空から見ると北斗七星を祀った位置であることから)と呼ばれる7つの小さな塚が残されていたりします。この七天王塚の木を折ると、たたりがあるという噂は、私も、学生時代から聞いていて、4月に花見をする時に、注意をしたものでした。今も年1回、公式参拝がなされております。古きものへの「おそれ」の気持ちがあります。
さて、不安症は、関連疾患を含めると、うつ病を上回る有病率があり、若い年代での初発が見られる疾患群で、外出困難やひきこもりなどにつながることも多く、罹患者とその家族の社会生活が大きく妨げられております。しかしながら、不安症の早期診断と早期治療の重要性は、学校や職場を含む社会の中や家庭内、そして行政の保健担当者においてもまだ十分に認識されているとはいえません。薬物療法や認知行動療法をはじめとする心理療法は、画期的な成果をもたらしておりますが、その恩恵に浴すことの叶わない罹患者・家族が多く存在しているのです。
この問題を解決するためには、不安症とそれに併発する抑うつや社会活動の低下に対しての認識が、医療現場にとどまるのみでは不十分です。広く社会、ことに発症年齢を考えれば、学校・教育関係者への啓発が大変重要な課題にもなっております。その為に本学会では、オーストラリアから、子どもの不安のための認知行動療法「Friends」プログラムの開発者である、Paula Barrett博士を招聘し、教員の先生方を含む学校関係者の方々にも、参加していただきたいと思っております。
一方では、現在の治療の中では反応性に乏しい罹患者も存在し、更なる治療の改良が必要とされています。本学会では、不安症という病気を発症する脳のメカニズムを知るための基礎科学研究と、罹患者の病態を心理的観点からより深く知るための様々な臨床研究の第一人者によるシンポジウムを企画し、多様なアイディアを検討する場を提供したいと考えております。以上のような趣旨から、今回の大会のテーマは、「子どもの不安、思春期の不安、大人の不安」とさせていただきました。千葉大会の成功のために、多くの先生方のご指導ご鞭撻をなにとぞよろしくお願い申し上げます。
千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学
千葉大学子どものこころの発達教育研究センター
清水栄司
千葉大学大学院医学研究院 精神医学
伊豫雅臣